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人吉市議会議員による副市長再任案の無記名投票について

僕の地元である熊本県の人吉市議会で副市長の再任を求める議案が否決されました。

その際に行われた採決の方法が一部議員の申し出によって無記名で行われたことについて「個々の議員の態度がはっきりわかるように起立採決にしてもらいたい」や「議員の説明責任を果たしてほしい」などの声が上がっているようです。

今回の副市長再任案の否決については地元紙の人吉新聞が詳しく書いているのでぜひご覧ください。

必要性理解してもらえず 松岡市長「残念」と見解(人吉新聞9月26日)

この出来事について、僕は、突然起こり得たものではなく、これまで市議会の課題になっていたことが表面化したことだと捉えているのでそれについて少し書いていきます。

問題の所在について

これまでに僕が見ているなかでこの事実ついて行われている議論には大きく2つの軸があると思います。

1つ目は、副市長再任案を否決したこと自体についての問題。もう1つは、副市長再任案の採決が無記名で行われたという問題です。

1つ目の副市長再任案に対して賛成するか、反対するかについては、それぞれの立場があるのは当然のことでしょう。副市長の資質を問うものだったり、市長と議会の対立を反映するものである可能性も排除できません。そういう場合は、きちんと議論をして解決に向けて協力をしていってほしいと思います。この点の対立状況などに関して僕は詳しい事情を把握していないこともあり特には言及しないでおきます。

取り上げておきたいのは、2つ目の副市長再任案の採決が無記名で行われたという点について。前述の通り、賛成、反対の立場が存在するのは当然のことです。どちらも市民の立場に立って真剣に考えた結果であるとした場合、その立場はきちんと表明をしておくことが必要です。議員は市民によって選ばれ、その代弁者として議会での行動をするという責任とともに、議員の行動は市民にとって次の選挙における判断材料になるからです。

議員による無記名投票について

一般に私たち市民が投票して首長や議員を選ぶ際には、投票の自由を確保するために無記名投票が行われています。いわゆる秘密投票です。

一方で国会などの議会では、各議員の責任を明確にするために議案の表決などで記名での投票が行われています。

この違いは、有権者から選ばれた立場から生じる責任です。

当然のことですが、「〇〇議員は賛成した」「〇〇議員は反対した」といった議員による行動は、どういった支持基盤があるのかによって変わります。そしてどういう行動をとったかは、次の選挙でどの議員を支持するのかを判断する重要な参考材料となります。議員にとっては、次の選挙に議員が出馬する際、候補者は自身が「どういうことをしてきたか」「どういった判断をしてきたか」ということをアピールして有権者に訴えるのです。

無記名で投票をするということは、その判断材料を奪うことになりかねません。少しうがった見方をするならば、判断材料を隠しているとも捉えられます。

このように議員の行動には責任が伴い、その責任を果たす行動が求められます。

市議会の課題の表面化

僕は、今回の一件は、これまで人吉市議会が抱えてきた課題が顕在化した出来事だと捉えています。

それは、「議員の情報発信への取り組みが圧倒的に不足している」ということです。

僕は、現在、人吉市民ではありません。当然ですが、選挙権もありません。しかし、ふるさと人吉の将来については非常に興味があります。

そのため、市議会の動向については議事録を読んだり、議会の様子を動画で見てチェックしています。そういったことをしていると「この議員ってどんな人なんだろう」とか「なにをしたい人なんだろう」という疑問が出てくるので調べてみようと思いますが、あまりに議員が情報発信していなさすぎてわかりません。

人吉市議会としては、議員名簿や議会だよりを発行していて、人吉市のWebページからダウンロードしてみることができます。議会報告会などを開催して市民に身近な議会を作ろうと努力をされているのはわかります。

一方で、議員個人でWebサイトを持ってる人はほとんどいません。詳細なプロフィールもわからなければ政策もわかりません。

一部の議員は、Facebookで投稿を行っていて、今回の一件に関しても意見を述べておられます。でもほんの一部です。SNSのアカウントは持っていても議会の内容についてはあんまり投稿されていないようです。

これは僕だけでなく、市民の方も感じていることのようです。

実際、人吉市が市の関連施設に設置している「ひらめき箱」というものがあり、市民からの意見を広く募集していますが、その中には市議会に関する意見も寄せられています。

平成31年4月26日開封の意見です。

市議会議員の広報について

市議会議員選挙で投票する方を選ぶのに、判断の材料がほとんどないです。 市長選挙は、チラシで活動実績や主張を知ることもできました。しかし、議員候補の方々は、ほとんどが個人のホームページもなければ、配布される広報紙面もありません。どのような主張、実績、職歴がある方々なのかわかりません。市長や行政と違い、議会などで問われる機会もありません。 議員とは、あくまで市民の代表であり、活動をして税金で収入を得ている方々です。何らかの形で、現在やこれまでの活動を報告する義務を議員に課すべきではないでしょうか。

その他のひらめき箱はこちらから

情報発信と議員の責任

議員が情報を発信するということは、議員にとって自身のポジションの表明であり、責任が発生します。ウェブ上で表明していた公約を覆したりすれば、批判を浴びることになるかもしれません。「どういう人物なのか」「どういう政策を訴えるのか」をきちんと発信することは、同時に議員自身の行動に責任を発生させる行為でもあります。

今回の件を機に、改めて議員の情報発信の方法や内容について考える機会になることを望みます。

また、これは単に議員だけの問題ではありません。有権者の側もきちんとチェックをするという機能を果たさなければなりません。

人吉市議会では、今後議員定数削減の議論にも向き合うことになっていくと思いますが、自身の政策や考えをもっとオープンに語ることのできる場になることを望みます。

人吉市議会に関する情報はこちらから