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陸軍パンフレット問題と日本のマスメディア

大学で所属する玉井清研究会(近代日本政治史)で4月から半年間にわたり取り組んできた共同プロジェクトの成果「陸軍パンフレット問題と日本のマスメディア」が完成しました。

玉井ゼミでは、例年、「政治危機とマスメディア」と題して、近代日本政治史上の事件を取り上げ、その衝撃に対してどのような反応が見られるのかを考える資料集を『近代日本政治資料集』として発行し、現在、慶應義塾はもちろんのこと早稲田、法政、日大、学習院、東大、立教などの各大学図書館に所蔵されています。

今年度のテーマは、「陸軍パンフレット問題」。1934年に陸軍省が発表した「国防の本義と其強化の提唱」といういわゆる「陸軍パンフレット」について、当時のマスメディア上でどのような議論が行われていたのかを分析しまとめたものです。

「陸軍パンフレット問題」は、高校の日本史だと用語集には載っている事件です。陸軍が、統制経済や国防など政治的な問題について意見を発表したことに対して、「政治への介入」や「資本主義が脅かされるのではないか」といった危機感から議会や政治家を中心に様々な論争を呼びました。

教科書的には、「軍部が暴走するきっかけ」的な位置付けで解説されることが多いですが、実際はどうだったのか。当時の日本のマスメディア上でどのような人々が、どのような議論をし、どのような反響を呼んでいたのかなど細かく分析を加えています。

ぜひ読んでみたいという方は、こちらから(外部リンクに移動します)

4月から半年間にわたってこのプロジェクトは、玉井ゼミの25期12人で取り組み、協働執筆という形でまとめています。①テーマの選定、②調査、③分析、④執筆といった流れです。調査では、新聞の場合は、計7紙、雑誌の場合は、計37誌について、7ヶ月分のすべての記事を調査して、陸軍パンフレット問題の報道をまとめました。調査対象となる資料は、大学の図書館には所蔵されていないものも多く、夏休み期間中は、国立国会図書館や法政大学大原社会問題研究所(多摩キャンパス)まで足を運び資料をにらめっこする日々を送りました。

3泊4日のゼミ合宿の様子

9月の夏合宿において調査結果をもとにした分析について議論をし、論文の構成や役割分担を決めていきました。その後、執筆作業に入り、教授に添削してもらうというやりとりを何度も繰り返していきました。この過程では、もともと設定していた構成が変更になったりとかなり苦労しましたが、なんとか論文として完成しました。文量としては、約15万字、ページ数は180ページにのぼります。ゼミ同期12人によるまさに総力戦でした。

慶應の法学部政治学科には、数多くのゼミがありますが、3年生の段階でこれだけこだわったプロジェクトに取り組むゼミは、玉井ゼミくらいじゃないでしょうか。ゼミでの活動を一生懸命頑張りたいと思っている2年生にとってはおすすめのゼミです。ぜひゼミ選択の一つの選択肢にしてみてください。

今週の三田祭では、本プロジェクト「陸軍パンフレットと日本のマスメディア」に関する展示を行っています。ゼミ員が解説も行っていて、詳しい内容や玉井ゼミでの活動についても聞くことができます。興味がある方はぜひご来場ください!